ユビキタス社会到来の陰

2〜3日に1回は、新聞紙上のどこかに「ユビキタス」関連記事が掲載されている。来る「ユビキタス社会」の展望や技術開発動向が記載されているわけだ。
神々が同じ時間にあらゆるところに存在するという意味の「ユビキタス」はラテン語だ。一般に「ユビキタス社会」と語られる場合は、コンピュータ化されたさまざまな電子機器がネットワークで結ばれた社会の中で生活する社会と捉えられている。

ユビキタス社会が到来すれば、卑近な例として携帯電話から自宅の電子器具がコントロールできる、超小型電子タグが埋め込まれた列車の優先席は、障害者と認証された人が近づけば自動的に座れる状態を整えることができるなどなど、その展望は一見明るい。

現在でも、パソコンは扱えない、携帯電話は持っていても使いこなせない人は数多く存在する。いわゆるデジタルデバイドは、ますます拡大するだろう。そして対極にある者同士では、使える人間使えない人間とに区別されるかもしれない。

使えない人の問題は、いかに簡単な操作を追及するかという議論もあるので、いずれ解決されるかもしれない。これら以上に問題なのは、個人情報の扱い方だ。

個人を識別する方法として認証IDやパスワードが一般的だが、セキュリティーの厳しいところでは指紋や虹彩、声紋による個人識別も採用されていることだろう。これらを組み合わせれば個人の特定は間違いなく可能かもしれない。

そして、この特定された個人の裏側には、さまざまな個人情報が隠されている。企業内なら勤務評価や営業成績、給与情報、学生であれば学校の成績、個々人の預金残高、資産情報、果ては交通違反履歴や病歴まであるかもしれない。こうした個人情報がバックになければ、ユビキタス環境もスムーズに機能するとは思えない。

こうした個人情報は、だれが保護してくれるのだろう。技術的に個人情報漏洩、流出はないと開発者は言うだろうが、実際には顧客リストから自衛隊入隊候補者リストまで流出している現実はマスコミで報道されている通り。

しかも、ユビキタス環境の明るい未来を語っている記事は目に付くものの、こうした個人情報がどのレベルまで必要なのか、セキュリティー対策はどうなっているのかについて記載されたものは、“しのご”のような一般レベルまでには届いていない。どうするつもりなんだろう。もしかしたら、“しのご”が最も得意とする出たとこ勝負だったりして。
2003/12/09(Mon) 18:34:12 | 社会面
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