本物の仮面ライダーと石ノ森先生

テレビ東京のなんでも鑑定団の再放送を見ていたら、仮面ライダーのガチャガチャが出品されていた。高さはおおよそ1.8mぐらいか、おもちゃ屋の店頭に置いてあったのをもらったと出品者は述べていた。

仮面ライダーか……。それはそれは遠い昔、仮面ライダーの原作者である石ノ森章太郎先生の自宅に伺ったときのことを思い出した。

それは“しのご”が大学に入学したばかりのころだった。当時、“しのご”は仙台でUFOや超能力なんかを真面目に研究(?)するサークルに属していた。その研究サークルの顧問をしていただいていたのが石ノ森章太郎先生だった。

あるとき、研究サークルのメンバー有志は自殺の名所といわれる場所で、夜間に相当枚数の写真を撮影した。その写真には、期待通り怪発光体、場所が渓谷だったので周囲の木々や岩の隙間には人の顔と思しきものの集合体などが写っていたのである。これらの写真は顧問である石ノ森章太郎先生にも差し上げねばなるまい。写真をパネルに仕上げて東京、練馬の先生の自宅へ向かったのであった。

何しろ当時の“しのご”は大学に入学したばかりの世間知らずだ、当然アポなし。住所を頼りに自宅を探し出すと、「小野寺」という表札の家の玄関先には、そう高さが1.8mほどもあったろうか仮面ライダーのフィギヤがある。そう「小野寺」は石ノ森先生の本名、そして、これぞ本物の仮面ライダーだ。ここに間違いないだろうということでチャイムを押したのだった。

出てきたのは、お手伝いさんだったのかな? 「先生は徹夜したので、いま休んでおられる」とのこと。このとき11:00ごろだったろう。そうか先生は寝ているのか、先生はいる、運がいい。だから“しのご”は粘った。先生は当サークルの顧問でおられること、面白い写真を撮影できたので先生に差し上げたいこと等々を繰り返しアピールする。

粘ったおかげで、自宅内のアトリエに通されて待つこと20分ほど。石ノ森先生が頭をボリボリとかきながら登場したのであった。それから不思議なものが写ったパネル写真を見せながら、いろいろ話をしたのだが、残念ながらもう話の内容は記憶にない。ただ唯一、記憶に残っているのは「玄関先で漫画家志望の青年が会いたいといって動かないといわれたからなぁ」と語っていたことだ。そうお手伝いさん(?)は、いい方向に勘違いしてくれたのだ。それなら先生も会わずにはいられないだろうから。

およそ1時間の楽しい時間はあっという間に過ぎ、練馬駅へ向かって歩いていると、先生の車が通りかかった。これから家族で食事に行くらしく、練馬駅までなら乗せていくけどどうかという申し出だった。恐縮して辞退したのだけど、いまから思えばずうずうしく思われても乗せてもらえばよかった……。“しのご”も若かった(?)。

その石ノ森先生も亡くなった。いまは先生の故郷である宮城県中田町(近く町村合併予定)にある「石ノ森するさと記念館」で先生の作品に出会うことができる。

何でも鑑定団の仮面ライダー型ガチャガチャを見ていてよみがえった、石ノ森章太郎先生との楽しくもなつかしい思い出だった。
2004/11/14(Sun) 13:27:16 | 文化面
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